荻窪講談第16回公演、今回も多くの皆様のお運びを頂き、大盛況のうちに終演いたしました。ご来場大変ありがとうございました。今回は、「神田蘭 真打ち昇進披露公演」というおめでたいタイトルが付き、大きな昇進祝い幕が飾られた華やかな公演となりました。また前回の「紅佳」に引き続き、「紅純」の二つ目昇進も祝うおめでたい講談会となりました。
冒頭、神田紅による挨拶では、神田蘭の芸に対する真摯な姿勢を褒め、その陰には昨年亡くなった姉弟子の紅葉の力添えがあったこと、蘭の真打ち昇進披露公演がすでに数十回行われ各公演大盛況のうち進行していること、そして今回の荻窪講談は亡くなった紅葉がとても大切にしていた講談会であることなどが語られました。
そして本編は二つ目に昇進した紅純の「秋色桜」よりスタート。元禄に生まれた俳句の天才少女「お秋」の出世物語、利発な少女と父を筆頭に騒々しい江戸の人々、様々な人間模様の中での出世話をハツラツと演じました。
続いては紅佳による「越の海」、時代は寛政。こちらも小兵の相撲取りの出世物語、
力持ちで負けん気の強い小兵力士「勇蔵」が、有名な巨漢力士「雷電」らに果敢に挑戦し揉まれ、認められるまでの出世話。小兵と巨漢の声色を見事に使い分け、コミカルな相撲展開の情景が笑いを誘う熱演となりました。
仲入り前早々に、御大 紅による、「いざ鎌倉」の語源にもなった有名な「鉢の木」。格調高く勢いのある語りを中心に、忠義を試された佐野源左衛門が主君北条時頼の元に駆けつけるお馴染みの名調子。多くの掛け声もかかり会場一体となる大盛り上がりとなりました。
中入り後には本日一番の楽しみ、緞帳が開くと出演者世話人一同が並び、賑やかに「神田蘭真打ち昇進」の口上が各人から語られます。笑いあり、亡き神田紅葉との逸話ありなどで、神田蘭の人柄と芸への賛辞に万雷の拍手の中、華やかな披露舞台が終了しました。
後半開幕後は真紅の「和田平助・鉄砲切り」水戸光圀に寵愛された剣豪「和田平助」、妬みより挑まれた変則的な御前試合、危機の中でも卓越した技量で切り抜け、
闇討ちをも無意識に切り返す剣豪の凄み、水戸出身で郷土愛あるれる真紅の熱演が光ました。
そして大トリは本日の主役、真打ち神田蘭による「豊竹呂昇」。華やかな蘭が演じる明治の女流義太夫「呂昇」の情に溢れた出世物語。失意の中身投げを救われた恩人の盗人とのドラマチックな再会の場面は、細かな情景が浮かび二人の心情が溢れ出るような名演となり、読み終わりには万雷の拍手を頂き、大団円の中終演となりました。
今回もご来場ありがとうございました。次回17回公演は来年平成30年11月8日(木)です。またのご来場をお待ちしています。
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