第11回荻窪講談演目補足情報

「時代物」である講談は、時間の制約もあり長編物語の一節のみ演じられることが通常です。そのため、その物語の時代背景や大まかな全体ストーリーを知っていると、より深く講談を楽しむことができます。今回は来る11月4日(水)に行われる第11回荻窪講談の演目補足情報を掲載いたします。こちらをお読み頂き、それが演者によってどのように語り演じられるかを楽しみに、ぜひご来場ください。 ※下に講演のパンフレットPDFファイルあります。

『吉岡治太夫』    みのり

寛永宮本伝は、十七話からなる長いお物語で『吉岡治太夫』はその九話目。講談では剣豪を主人公とするお話しを総じて「武芸物」と言います。なかでも「宮本武蔵」は人気の演目ですが、同じ人物を主人公とする物語でも、流派ごとにその時代背景やストリーは異なります。神田派が伝承する『寛永宮本武蔵伝』は、絵本を元に創作されたもので、丁々発止の打ち合いの中で奇想天外な必殺技が次々と飛び出す楽しいお話しです。

『芝居の喧嘩』     松之丞

寛永年間(1624年~1644年)、江戸では幡随院長兵衛が率いる町奴と呼ばれる無法者と、水野十郎左衛門を筆頭とする不良旗本とがいがみ合いを続けていました。ある日、芝居小屋で長兵衛の身内と小屋の若い衆との間でいさかいが起こります。旗本たちは芝居小屋の若い衆を援護。喧嘩はどんどん大きくなっていく、観客も喝采を送りながらの大騒ぎ。
幡随院長兵衛のお話は、講談の中では人気の高い「侠客物」と呼ばれるジャンルです。

『初恋閻魔』   

本作は、小説家としても活躍する神田茜の「創作講談」です。創作講談の中には、歴史上の人物や、事件にスポットを当てたもの、小説や漫画など原作があるものなど、色々ありますが、茜の創作講談は現代を舞台に、実体験を元に創っています。「どちらかと言うと笑いの多い話ですので、深く考えず楽しんでいただけたらと思います」と、本人談。

『爆裂お玉』~明治白浪女天一坊    昌味

『爆裂お玉』は二代目神田山陽の得意ネタで、講談では「白浪物」というジャンルに入ります。この「白浪物」とは、盗賊を主人公とした演目。本作の背景は明治時代。お玉の悪女列伝は連続講談として楽しまれてきました。

『真田幸村大坂出陣』    

関ヶ原の合戦で真田家は、父親昌幸と次男幸村の2人は西軍に、長男信幸は東軍に分かれて戦いました。幸村親子は信州上田で秀忠の率いる3万8千の大軍を食い止めましたが西軍は惨敗。長男信幸は家康公に上田城の開城を条件に父と弟の助命を嘆願。命拾いをした幸村親子はおとなしく百姓暮らしをしておりましたがその14年後、幸村48歳の時です。大坂城の豊臣秀頼公から援軍要請。いよいよ待ちに待った時がやってまいります。